FROM SAITO CITY MIYAZAKI

西都市で新しいことをはじめるためのヒントが、ここで見つかる!

手と手を繋げるハンドメイド工房PROJECT

モットーは“なるようになる” 。
地元に戻った椎葉さんは、
お店とマルシェを通じて人とまちをつないでいく。

アクセサリー作家 椎葉えりさん

30 Mon. January, 2023 KEYWORD
  • 起業・小商い
椎葉えりさん

アクセサリー作家 西都歴6ヶ月

西都市出身。自身もアクセサリー作家として活動を拡げながらハンドメイド作家の商品を幅広く取り扱うセレクトショップ「ヨンイチハチ工房」をオープン。

  • 起業・小商い
30 Mon. January, 2023
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 2022年9月、宮崎市佐土原町から西都市へ移転した「ヨンイチハチ工房」は、ハンドメイド作家のアクセサリー、雑貨、衣類まで幅広く取り扱うセレクトショップです。店主の椎葉えりさんは、子育ての息抜きに2年ほど前からアクセサリー作家としての活動をスタート。ネットショップやイベントを通じてオリジナル作品の販売を行ってきました。

自分たちの作品を売る場所をつくる

 お店を作ろうという発想のきっかけになったのが、コロナ禍の影響でイベントの中止が相次ぐなか「それなら自分たちで」と友人たちと企画した小さなイベント。販売の機会が減って困っている作家は多いはず。イベントだけじゃなくて、常に販売できる場所が近くにあればいいのにね──。何気ない会話の流れで、椎葉さんは気づくと「それなら私がやる」と手を挙げていたのだといいます。

 「店舗経営の経験はなかったのですが、なるようになるかなって。以前から気になっていた空き店舗を内見して、翌日には契約。3ヶ月後には、宮崎市佐土原町にお店をオープンしていました。とはいえ、お店にあるのは自分と友達の作品だけ。とにかく知ってもらわないと始まらないので、気になる作家さんにインスタグラムでDMしたり、毎週のようにイベントに出店したりと、ほとんど休まず動き続けていましたね」

 個人で活動するアクセサリー作家にとっては、人と人とのつながりが何より重要だという椎葉さん。イベントへの出店でお客さんや作家と知り合い、その出会いがまた別のイベントへの出店機会へとつながっていく。少しずつ広がりが生まれるなかで、今度は自分自身でイベントを主催したいという思いが募っていったといいます。「その場所としてイメージしていたのが、子どもと一緒によく遊んでいた西都原古墳の広場です。広くて平坦で、交通量が少なくて家族連れも安心して過ごせる。駐車場も十分だし、ここならイベントができそうだなって」

マルシェを西都市に定着させるために

 わからなくても、思い立ったらすぐ行動。椎葉さんは広場を借りるためさっそく市役所に問い合わせ、2022年の5月に「いろどりマルシェ」をスタートしました。同業者を中心に初回から話題となり、作家から飲食関係まで、多いときには1日に60店舗ほどの出店者が県内外の各地から集まるそうです。好評を受けてその後2回開催しましたが、手応えを伺うと「まだ西都市の人たちには根付いていないと思う」と厳しい表情を浮かべます。2023年は、おおよそ月に一度の頻度で開催するのが目標です。

 「 “月の初めに西都原に行けば何かやっている” と思ってもらえると覚えてもらいやすいのかなと。まずは2023年に10回は開催したいですね。出店者とお客さんがある程度見込めそうであれば、体力の続く限りずっと開催していきたい。イベントには若年層が多く集まるので、このイベントをきっかけに市内をまわってもらえるような仕掛けを考えられたらと思っています」 

 椎葉さんにとっては「お店も小さなイベント会場のようなもの」。さまざまな作家の作品や雑貨、衣類や陶器などが所狭しと並ぶようすは、たしかにマルシェをぎゅっと凝縮した雰囲気とも言えそうです。イベントは人手も多く忙しないため、あまり話す時間を作れない。お店があれば、知り合った方と後日またゆっくり話しながら人となりを知ることができる。「できればちゃんと会話をして、顔を覚えておきたいし、何を買ったか、どんな話をしたかも覚えておきたい」と話す椎葉さんから、どんなにつながりが広がっても、一人ひとりとの関係を大切にする姿勢が伺えました。

西都の好きな部分

 「地元を盛り上げたい」との想いで西都市への移転を決めてから数ヶ月。もとはスナックだった物件を改装し、奥には自身のアクセサリーを制作するアトリエスペースを設置。西都市の「目的地になりづらい」という弱点を感じることはあるとしつつも、かつてのまちのようすとは少し変わってきている、と教えてくれました。

 「こっちに帰ってきて、お店や事業をしている方とお話しする機会が増えたんですが、まちを盛り上げたい!と思っている人が多いと思いましたね。もちろん事業をしていない人も、地元を好きな人が多い。私が子どもの頃って、ファミリーレストランくらいしかイメージがなかったんです。友達とご飯を食べるときも、ファミレス気分じゃないときは、じゃあ(宮崎)市内に行こう、となる。今はお店がたくさん増えているのに、住んでいる人たちにもあまり知られていない印象です。(友達に)市内行く?って言われると『最近は西都にもいいお店があるんだよ』って言っています。イベントもやりやすくなったし、西都に来て良かった、と日々感じています」