FROM SAITO CITY MIYAZAKI

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夢を叶える山村農業 PROJECT

自分の「夢」が地域を救う?故郷の未来を創る、スローライフへの挑戦。

地域おこし協力隊 上米良隆杜さん

23 Thu. October, 2025 KEYWORD
  • 農業
上米良隆杜さん

地域おこし協力隊 西都歴1年(Uターン後)

西都市東米良地区出身。宮崎市内の高校に進学後、宮崎市内で就職。営業や農業関連の仕事を経て、「地域の力になれるのであれば」と地元東米良地区の地域おこし協力隊に。現在は東米良地区で「複合型農林サービス」の仕組みを構築中。

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23 Thu. October, 2025

 西都市の中でも山間部に位置する東米良地区尾八重。目の前には畑が広がり、遠くには山々を見渡せる古民家。誰もが1度は憧れるような田舎暮らしの環境で暮らすのは地域おこし協力隊としてUターンしてきた上米良隆杜さん。「40代、いや、30代後半までにはスローライフをはじめたい」と、ひょうひょうとした表情で語ります。一見よくある田舎暮らしへの憧れのように感じられますが、そこには地域愛が感じられる独自の考え方がありました。

 上米良さんが抱いているスローライフへの憧れ。実は高校時代から口にしていたと言います。そのきっかけは小説の一節にありました。「当時は基本的に無趣味でした。遊びに行ったりしてなかったんですよ。人混みが苦手だったし1人でいるのが好きだったんで」。学校と自宅以外の時間を図書館で過ごすうちに読書にはまった上米良さん。「小説の中にスローライフの一節があって、ちょっと憧れたのはありますね。俺もこんな風にのんびり暮らしたいわって」。その想いが今の原動力にもなっています。

流されるままに生きてみる

 今でこそ、スローライフという夢に向かって様々な取り組みをしている上米良さんですが、協力隊になる前は流されるがまま生きてきたと言います。高校のコンピューター科を卒業後、新卒で入社したのは文房具販売会社の営業職。学んできたことと全く関係のない仕事でした。「朝6時半に家を出て、帰り着くのは20時、21時とかが当たり前でしたね」。

 そんな生活に疲れ果てていた矢先、知り合いから思わぬ誘いがあったと話します。それは、農業協同組合の関連会社でバイトを募集しているから働いてみないか、という誘いでした。上米良さんは流されるがまま働き始めます。「次の仕事を見つけるまでの間ここで働こうかな、みたいな感じでやっていたら、気づけば正社員になっていて」と語る上米良さん。子ども時代、実家のゆず畑を手伝っていた経験もあり、農業の仕事は自然と体になじんだようです。

地元を救う「山農業」の仕組みづくり

 もともと人見知りだった上米良さんでしたが4〜5年働く中で人脈も広がり、そのおかげで仕事もスムーズに進むことが多くなってきました。そんな中、またまた仕事の話が舞い込んできます。地元である東米良地区で地域おこし協力隊の募集がある、という話でした。「地元のためになるのであれば」と、上米良さんはすんなり話を受け入れます。

 2024年7月に協力隊に着任。上米良さんが取り組んだのは、それぞれ旬の時期が異なる複数の作物を安定的に栽培する「複合型農林サービス」の仕組み構築でした。山あいの農村地域が人を呼び込み生き残っていくためには、やはり食い扶持は必要で、複合型農林サービスは生命線とも言えます。そんな仕組みを構築する仕事は、生半可な気持ちでは成し得ません。スローライフが夢の上米良さんが、なぜそのようないばらの道を選んだのでしょうか。

自身の夢が地域の希望に

 それは上米良さんが話す“スローライフの定義”の中に答えがあります。「忙しいときは忙しく働くんですけど、何もないときは何もしないです。もう、自分の趣味に全力!みたいな」。9月には米の収穫がピークを迎え、10月から11月前半にかけては柚子の収穫作業に追われます。その後12月からはイチゴの栽培が本格化。1月には椎茸の駒打ちも始まります。春の花の時期、3月から5月には蜂蜜を作り、5月から6月に椎茸を収穫。そして7月から8月の暑くなる時期にがっつり休む。これが上米良さんが定義するスローライフであり、この考え方こそが“複合型農林サービス”の仕組みそのものなのです。

 この仕組みの実現のためには情報収集が欠かせないと上米良さん。協力隊の業務の傍ら、東米良地区銀鏡にある山の駅でアルバイトをして、多くの人と交流を深めていると言います。「銀鏡だったらこの野菜はこのくらいの値段で売っているとか、どんなものを育てている、とか。蜂蜜の取れ具合とか、そういった話を聞けるんで結構勉強になったりしますね」。本来1人が好きな上米良さんがここまでやるのは、東米良地区が求める複合型農林サービスの向かう方向と、自身が目指すスローライフ像が一致したからだと言います。「基本はやっぱ1人がいいですよ。でも仕事は関係持たないと成り立たないから」。

 かつて宮崎市で多忙な生活を送っていた上米良さんは、仕事に疲れて田舎でゆっくりしたい、という都会の人の気持ちは痛いほど分かると話します。「そういう人に、こういう生き方もあるんだ、ということを知ってもらって、それでいいと思えるならもう来ちゃえよって。それで少しでも東米良に移住する人が増えて地元に貢献できればと思っています」。自身の夢が、地元の希望に。「流されるがまま」に生きてきた上米良さんが、自らの意思で掴み取った理想の生き方。それは地域を巻き込み、ともに未来を創るという、新たな「スローライフ」の形でした。


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