FROM SAITO CITY MIYAZAKI

西都市で新しいことをはじめるためのヒントが、ここで見つかる!

まちを舞台にファンタジー小説PROJECT

人との関わりを実感しながら、まちに貢献する。
地域おこし協力隊1年目、飯塚さんが移住で手にしたもの。

地域おこし協力隊 飯塚哲さん

7 Tue. March, 2023 KEYWORD
  • 起業・小商い
  • あそび・趣味
飯塚哲さん

地域おこし協力隊 西都歴5ヶ月

神奈川県出身。横浜国立大学法科大学院を卒業後、地元市役所に入庁。妻は西都市出身。広い空と歴史ロマンあふれる環境に魅力を感じて、2022年7月に移住。法律を使って地域に貢献するのが目標。

  • 起業・小商い
  • あそび・趣味
7 Tue. March, 2023
おすすめのスポット

稚児ヶ池です。家の近くでよく犬の散歩をしています。

 広い空間で、一つひとつ丁寧に。自分のペースで、好きなことを大切にしながら暮らす──。約10年勤めたある都市の市役所を退職して西都市に移住し、現在は地域おこし協力隊に所属する飯塚さんは、ここでの生活をそんなふうに表現します。動物が好きで、自然が好き。そして日本史などの歴史も好きという飯塚さんにとって、西都市への移住は、どんな影響をもたらしたのでしょうか。

ファンタジー小説で西都市の未来を描く

 実は西都市は奥さんの地元で、これまで何度も里帰りで訪れていたという飯塚さん。その度に、自然が多く住みやすそうだという印象を持っていたそうで、初めて西都原古墳群を訪れたときには思わず大興奮だったとか。移住前、奥さんから地域おこし協力隊の募集が始まったと聞いた飯塚さんは、オンライン移住相談会での地域おこし協力隊との面談を経て商工観光課にエントリーしました。「同じ移住者の仲間もいるし、今後自分がやりたいことにもつながりそうな気がしたんです」

 飯塚さんは、地域おこし協力隊の「命令業務」と「自主企画業務」という2つの業務のうち、命令業務では空き家バンクの登録と、その利活用の促進を行っています。空き家に関心のある移住希望者の方への物件の案内はもちろん、お試しで滞在する際に同行して周辺環境の説明を行ったり、生活を始める上での相談にも乗ったりもしています。いっぽう、西都市の活性化に寄与し、3年後の起業につながる企画を立案する自主企画業務では、「ファンタジー小説」に取り組んでいるそうです。少し珍しい取り組みですが、どんな背景があるのでしょうか。

 「こう見えても、高校や大学時代には小説を書いていたんですよ。文字を書いて人に伝えるということは割とやってきたほうなので、自主企画業務ではファンタジー小説を書くことにしたんです。西都市を “セイート村” に置き換えて、遺跡が多く残る農村に都会から犬を連れた勇者がやってきた、という設定です。『アルファポリス』という小説投稿サイトに投稿してまして、ペンネームは西都市地域おこし協力隊の頭文字を取って『サチオキ』という名前にしました」

 「また、司法書士の資格を取るための準備も認めてもらっているので、その勉強をすることもあります。空き家の利活用が進まない原因のひとつに、相続登記が整理されていない実情があって。2023年3月には、市民の方を対象にした相続登記についての説明会を企画しました。問題意識を持ってもらうとともに、相続登記に関する知見を増やしてもらうというねらいです。ゆくゆくは司法書士として独立したいという夢もあります」

人と関わることで、つながりが広がっていく感覚

 移住を本格的に検討しはじめたのは、約1年前の里帰りの頃。「定年退職したら移住しよう」と常々話してきたお二人でしたが、西都原古墳群で愛犬の散歩をしたり、自分たちのムードにあった時間を過ごせたりしたことが、決心へと繋がりました。「犬も奥さんも自分も、やっぱりこっちの方が楽しいんだなって。心配だったのは、ちゃんと車の運転ができるかなということくらいですね。畑で土をさわったり、花壇を作ったりするのが趣味の私にとって、メリットしかなかったです」

 毎日遅くまで働いていた市役所職員時代と比較すると、働き方もずいぶん変化しました。当時、通勤にかかる時間は電車とバスと乗り継いで合計1時間。混雑で乗れない場合も考慮し始めると、さらにその時間は延びるいっぽうでした。「そうしたストレスから開放されるだけでも全然違う」と飯塚さん。加えて、地域おこし協力隊と市民との距離の近さも、やりがいにつながっているそうです。

 「大きな組織だと、人数が多いので分業制になるんですね。そうすると、自分のしている仕事以外のことは分からないわけです。でも、西都市では直接市長の話を聞くことができるし、今日のようにイベントに参加して一緒に西都原に菜の花を植えるといったこともできる。いろんなことが経験できます」

また、こんな象徴的なエピソードを教えてくれました。

 「先日、ある中学生から電話が掛かってきて『西都の魅力について移住者の目から教えてほしい』と尋ねられたんです。どうやら総合学習の時間ということで、その電話のあと学校でお話をしてきました。すると、生徒の中に空き家問題に関心のある子たちがいて、今度は一緒に空き家を見に行くことになって。こういう展開は、これまではありえなかったんですよね。でもこっちでは会おうと思えば会えるし、人と関わっていくことでつながりが広がっていく感覚もある。市のために働けているんだな、と実感できて嬉しいです」

 取材の最後は、愛犬と散歩をしながら写真撮影。動物好き、自然好き。たとえばそれ以外に西都市に向いているのはどんな人ですか?と尋ねると「あとは、お酒が好きな人ですかね」とにっこり。「お酒がおいしく飲める条件が全部そろっていますから。鶏や野菜も新鮮で安い。今作っている花壇が完成したら、ハーブなどを使ったおつまみを作って、一杯やる。そういう生活をしたいと思っています」