FROM SAITO CITY MIYAZAKI

西都市で新しいことをはじめるためのヒントが、ここで見つかる!

愛を形にするニューボーンフォトPROJECT

「ニューボーンフォト」は、親へのエールにもなる。
西都市で踏み出した、フォトグラファーとしての新たな一歩。

フォトグラファー 日髙早恵さん

13 Thu. October, 2022 KEYWORD
  • 起業・小商い
  • あそび・趣味
  • 子育て
日髙早恵さん

フォトグラファー 西都歴4年

都市部で看護師や舞台照明を経験したのち、地元・西都市で『ニューボーンフォト』に挑戦!ママ・パパの想いを形にするべく、赤ちゃんの一瞬一瞬をシャッターにおさめている。

  • 起業・小商い
  • あそび・趣味
  • 子育て
13 Thu. October, 2022
西都市のおすすめスポット

清水神社の近くの橋から見る夕日が本当にきれいで、よく車を停めて写真を撮っています。

 生後28日までのわずかな期間しか撮れない新生児の姿を写真に残す「ニューボーンフォト」。もとは欧米の文化ですが、生まれて間もない貴重な一瞬を捉えた写真がSNSを中心に火がつき、日本国内でも徐々に定着してきているといいます。今回お話を伺った日髙早恵さんは、西都市を拠点にニューボーンフォトの出張撮影を行うフォトグラファー。もともとは看護師だった日髙さんの転身のきっかけもSNSにありました。

 「Instagramで偶然目にして一目惚れしたんです。ニューボーンフォトは生まれる前から準備するお母さんが多いんですけど、それは親の愛情の証明でもあると思うんですよね。私が撮ったその写真が、結婚式で流れる『生い立ちムービー』の最初の一枚になったら……と想像して。それがきっかけではじめました」

子育てに奮闘する親を応援したい

 都市部で看護師や舞台照明の仕事を経験し、出身地・西都市に戻ってきたのが2018年。経験ある仕事に再び就くか、自分の興味に近い仕事に挑戦するか。ニューボーンフォトと出会ったのは、そんなふうに悩んでいた頃でした。思い立った日髙さんは、早速ニューボーンフォトのカメラマンのワークショップや、助産師によるレッスンに参加します。新生児期に特有の柔軟性や、長い睡眠時間を利用するニューボーンフォトには、通常の撮影技術以外にも、赤ちゃんの身体や母親との接し方に関する専門的な知識が必要なのだそうです。「出産と育児で心身ともに疲弊している生後2週間くらいまでは特に、母親がマタニティブルーに陥りやすい時期。言葉ひとつ、態度ひとつで深く傷つけてしまう可能性もある。だからこそ、助産師さんなどから本格的に学ぶ必要があります」

 約2年間の準備期間を経て、2020年に「SA-LOOK」という屋号で開業。母親の負担をなるべく減らしたいと、自宅へ出向いて撮影する出張撮影に特化し、県外からの依頼にも積極的に応えています。出産のダメージに加え、産後のホルモンバランスに乱されながらも育児に奮闘する母親に「十分頑張っているよ」と伝えたい──。ニューボーンフォトの主役はもちろん赤ちゃんですが、日髙さんにとっては親とのコミュニケーションや、母親のケアという側面もとても大きいのだといいます。

 「ある友人が、出産後に落ち込んでいたことがあって。一生懸命お世話をしているのに泣き止まなくて、かわいいと思うことも難しくなってきていた。でも撮影でいつもと違う赤ちゃんを見られたことで、久しぶりに赤ちゃんを心からかわいいと思えた、と。もう自分は駄目な母親なんだと思っていたから、嬉しかったと言ってくれたんです。お客さまはかわいい写真を撮ってもらうことが目的ですが、実は私としては母親にリフレッシュしてもらって、赤ちゃんはかわいいんだと再確認してもらえたらという思いもあるんです」

 「それと、親が親になっていく過程を見られることもこの仕事の魅力のひとつです。とくに初めてのお子さんだと、まだ赤ちゃんとどう関わったらいいのか親も分かっていない。それが、数ヶ月後に父親が片手で赤ちゃんを抱っこしている姿や、上手にあやしているのを見ると『お父さんになってる!』と感動します。親は赤ちゃんの成長とともに親になり、家族になっていくんだなって。そんな姿を見たくて、お子さんが1歳になる初めての誕生日まで撮影するというのが今の目標になっています」

何かをはじめるには最高の場所

 看護師時代には東京、そして舞台照明として働いていた頃は全国各地を巡業していた日髙さん。西都市へ拠点を移してからは、せわしない毎日とは距離を置き、自然に囲まれてゆったりとした生活を送るようになりました。のんびりした環境でありながら、県外へも出やすい点が自分に合っているといいます。

 「西都市はどこにでも行きやすい、拠点に向いた立地だと思います。えびの市や延岡市、日向市にも依頼があれば行きますし、南だと日南にも行きました。西都市は家賃も安いし、何かをはじめるには最高の場所。実際、昔と比べると個人のお店がどんどんできてきた印象があります。そうしたお店を目的に市外から訪れる人も増えているという話も聞くので、昔とは何かが違ってきているのかなと」

 ニューボーンフォト専門のフォトグラファーになる、という宣言には周囲も驚いたそうですが、これまでのキャリアを捨てることに恐れはなかったのでしょうか。最後にそんな質問を投げかけると「実は、これまでの経験も活きているんです」と日髙さん。赤ちゃんの身体の構造は看護師の、そしてカメラのライティングは舞台照明のときの経験がつながってきている。そして、看護師のときに学んだ大切なことを教えてくれました。

 「後悔しないように生きたいんです。看護師のときに、やりたいことをやれなかったと言う人を看取る経験をたくさんしました。友達には『新しいことをはじめる勇気があるんだね』ってよく言われるんですけど、こうした経験から『やりたいからやってみる』が前提になっているんです。失敗したときのことはそのとき考えればいい。挑戦できる環境と、健康な体があるなら、一度やってみたらいいって思います」