FROM SAITO CITY MIYAZAKI

西都市で新しいことをはじめるためのヒントが、ここで見つかる!

ご縁が紡ぐ笑顔のゆずPROJECT

山村留学と “みんなで育てる”という意識が、地域を支える。

ゆず農家 濵砂紳一郎さん

4 Thu. November, 2021 KEYWORD
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濵砂紳一郎さん

ゆず農家 西都歴7年

宮崎県宮崎市出身。ご縁が重なり西都へ移住。未経験からゆず農家となり商品開発も行っている。そのほか地域の人を結ぶ山の駅の運営や、東米良の広報活動にも取り組み中!

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4 Thu. November, 2021
最近ハマっていること

ドローンを使った風景撮影

 季節を告げる花や山々、銀鏡川の清らかな流れ、ゆずと神楽。古来からの伝統と信仰を守りながら、まさに自然とともに生きる東米良の暮らしですが、人口減少と高齢化の波はここにも押し寄せています。決して若い世代が多いとは言えない地域への移住。市街地で暮らしてきた濵砂さんは、子育てや生活の面での不安はなかったのでしょうか。質問を重ねるうち、東米良の活性化を目指すNPO法人「東米良創生会」の設立がきっかけとなり、あらゆる面が整ってきていることがわかってきました。

大自然のなか、みんなで育てる地域のあり方

 「令和2年に創生会ができてからですね。たとえば通学で言うと、西都市の中心部にある幼稚園まで、車で50分くらいかかっていました。それが大変でしたけど、今では地域の子どもたちをまとめてバスで送迎してくれるようになって、とても助かっています。それと、地域を盛り上げるような企画も行っていて。初心者の方向けのドローン体験とか、『山がっこ』という、子どもたちを連れて山遊びしてもらう企画とか。こないだの山がっこでは、いかだを作って川下りをしていましたね。そんなふうに、みんなで遊ぶし、みんなで育てるという意識が強い場所だと思います」

 子どもを連れていると、すれ違うひとたちが話してくれたり、抱っこしてくれたり、必ず気にかけてくれる──。都市部であまり見られることのなくなった、 “ゆるやかな家族” としてつながりあう、地域のあり方。コミュニティを維持することと、伝統文化を継承することがひと続きになった暮らしに、濵砂さん自身、とても心地よさを感じているようです。

 “地域の人をつなぐ” という意味では、東米良唯一の食料品店であり、気軽に集まれる空間でもある「山の駅」も大切な存在です。かぐらの里の商品が買えたり、店内奥の「カフェ しろみ」で食事もできる便利な場所ですが、一時期は「もう閉めたほうがいいのでは」という話が持ち上がったこともあったそう。そんなときでも、運営に携わる妻・香純さんを中心に「なくなるとみんなが困るから」と強い意志で持ち直したのだといいます。

 カフェ しろみの看板商品「シシカレー」は、猪肉を豪快に使用した、まろやかながらも滋味深い味わい。ほかにも、あっさりとした「シシうどん」や、新鮮なゆずを使った爽やかな「ゆず炭酸ドリンク」など、東米良ならではのメニューが揃えられています。ちょうど取材時には、カフェでお昼ご飯を食べる家族の姿も見られました。 

地域の存続と子どもの教育をつなぐ施策

 東米良の暮らしにおいて、もうひとつ特徴的な仕組みがあります。それが、一年間親元を離れ、東米良の里親の家から学校に登校する「山村留学」という制度です。東米良にある小中一貫校・西都銀上学園が1995年度から始め、これまでに迎えた “留学生”は、のべ300名弱。バス路線の廃止が検討されるなか、学校の存廃にも危機感が募ったことから西都市に相談、当時の市長からこのアイデアを提案されたといいます。「自然を体験させながら自立心も学んでもらえるから、と毎年かなりの募集があります」と濵砂さん。

 「今、東米良出身のお子さんは数人で、それ以外は県内・県外からやってきた山村留学生なんですよ。里親として登録している家庭に留学生を迎える形です。留学期限は1年ですが、希望があれば延長もできます。自然が大好きになって、小学校低学年から中学校に上がるまで留学した子もいましたし、遠いところでは大阪から来た子もいましたね。留学生でも、ここの人たちを見かけると必ず挨拶してくれますし、知らない人にも挨拶します。それがすごいなと思いますね。僕が市街地で暮らしている頃は、隣の部屋の人がどんな人かも知らなかったわけで。親子で山村留学に来ている方もいらっしゃいますよ」

 自分たちの暮らす地域がより元気に、伝統文化の灯りを消さないように。あらゆる世代が一体となって地域を盛り上げようとする背景には、そんな思いがあるようです。濵砂さん自身も「僕のような移住者はどんどん増えている傾向にあって、それはこれからも続くと思う」と意気込みます。そのために、地域の魅力を率先して発信していきたい、とも。「最近はドローンを飛ばして、畑や山を撮ったりしています。といっても趣味の範囲なんですけど、あまり見たことのない視点から撮れるのは楽しいですね。人家の少ない東米良ならではの遊び方かもしれません。今はまだ練習中ですが、いずれは撮った映像で東米良の魅力を発信できればいいなと。今度は川の流れを1日かけて撮ってみようとか考えています」

 現在、東米良では各地でキャンプ場を整備中で、第一弾「東米良仁の里キャンプ場」が先日完成したところ。素泊まりで泊まれたり、露天風呂がついたお宿も数件できました。「移住とまではいかなくて、この場所に興味があればまず来てもらえたらいいなって。そのための施設やスポットが整いつつある」と濵砂さん。山で子どもたちが遊べるような大きなブランコを作るのが、今の小さな夢だと教えてくれました。

 「それと、今作っているのはゆずとトウガラシですが、これら以外にも面白い作物を見つけて、どんどんこの地域が知られるように頑張りたいと思っています。ちょっといいなと思っているのがライチ。僕、ライチが大好きなのでやってみたいですね」